秋田の酒が美味しい訳〜郷土料理に合う秋田の日本酒 おすすめ5選〜  吟天「GINTEN」セレクト


秋田の酒が美味しい訳〜郷土料理に合う秋田の日本酒 おすすめ5選〜  吟天「GINTEN」セレクト

更新日:2022/06/20


「米の秋田は酒のくに」というキャッチフレーズもあるように、秋田県は気候的にも米作に適した地域です。要因としては、雄物川、米代川、子吉川といった一級河川が豊かな水利として、ほぼ全域の耕地を潤していること、米の品種開発等の取り組みが盛んなことが挙げられます。

その効果か、秋田県は、北海道、新潟県に次ぐ全国3位の米どころです。清酒の出荷量全国4位、成人一人あたりの日本酒消費量で全国2位、酒豪型遺伝子の出現率で全国1位と、呑兵衛の数でも全国屈指です。


今回は「美酒王国」秋田の酒について語ってみましょう。

「美酒王国」秋田の酒造りの源流

秋田県の酒造りの歴史は古く、江戸時代である17世紀、秋田の酒造業は鉱山の開発に伴い、大きく発展しました。県北の小坂、尾去沢鉱山の他、日本最大規模の銀山といわれた院内銀山があり、当時の鉱山には7,000人余りの人々が働き、周辺住民も含めると15,000人、佐竹藩の城下町久保田(現秋田市)をしのぐ盛況ぶりだったと伝えられています。


娯楽の少ない鉱山周辺の山中にあって、酒が必要不可欠のものであったのでしょう。当時、740軒を超える酒蔵があったといわれています。また、院内銀山周辺の湯沢市は、「東北の灘」といわれるほど酒造りに適した土地で、湧き水が多いことでも有名です。名水「力水」は現在も市民に親しまれています。

秋田の日本酒の特徴

古来より、冬に低温となる地域では、酒造りに向かないとされていました。その理由は、寒すぎると日本酒の発酵に必要な酵母の働きが悪くなるから。秋田県は言わずもがな、冬の季節には多くの雪が降る、降雪量の多い地域です。

「では、ここでおいしい日本酒を造るにはどうしたらいいのか?」ということで開発されたのが、「秋田流長期低温発酵」。秋田県横手市の酒造り集団、「山内杜氏」によって引き継がれてきた技法です。ふくよかでありながら、クセの少ないお酒を生み出すのが特徴です。

全体的には次のような特徴が多くみられます。

  • きめ細かくなめらかで、口当たりの優しいお酒
  • 透明感があり、豊かな甘味と旨味が感じられ、確かな芯を感じさせるお酒

秋田の日本酒は甘めの傾向にあります。近年は醸造技術の発達により、辛口のお酒も造られるようになりました。当ショップで紹介している「山本」と「刈穂」はその代表格といえます。

秋田県の酒造好適米としては、「秋田酒こまち」が最も有名です。

これは、酒造好適米として最高品質を誇る「山田錦」並みの醸造特性と、秋田県内酒造好適米の主力品種「美山錦」並みの栽培特性を併せ持つ、吟醸酒用の原料米として育成された品種です。

大粒であるので高精白が可能で、蒸米に弾力があり表面が乾きにくいことから、麹が作りやすいというのが大きな特徴です。また、酒母・もろみは糖分の生成量が多くなるという傾向があり、造られたお酒は、“香り高く上品な甘味があり、旨さと軽快な後味を持つ日本酒”といえます。

 

2020年、新しい酒造好適米である「一穂積(いつほづみ)」と「百田(ひゃくでん)」がデビューしました。

「一穂積」は、味わいのベースはすっきり、五百万石の綺麗で淡麗なタイプで、後味が控えめ。それに対し「百田」は香味が華やかで、後味のふくらみが特徴です。2品種とも、今まで秋田県になかった酒質が期待できる品種であり、前述した、「秋田の日本酒の良さ」を踏襲しながらも、様々な日本酒が生み出される土壌となっています。今後の酒造りに期待です。

「美酒王国」秋田の海の幸・山の幸と日本酒

秋田県は海の幸と山の幸に恵まれ、食べ物がおいしい地域です。県魚ハタハタを初めとして、各種魚介類が豊富に獲れます。県南地域は岩ガキの名産地です。また、秋田県内陸部では、ジビエの文化が発達しています。猟師である「マタギ」が有名なことからもわかります。一部地域では、中国料理として有名な熊の手が食べられます。


郷土料理として有名なのは、「きりたんぽ」です。比内地鶏のダシをベースに、鳥肉、ごぼう、せり、ネギ、舞茸、糸こんにゃく、米を軽く潰し棒状にしたものを入れ、煮込んだ料理です。また、大根の漬物の一種である「いぶりがっこ」、水草の一種である「じゅんさい」なども有名です。


秋田の郷土料理は全体的に、甘味や塩味が強い傾向があります。秋田の日本酒は味がしっかりしているものが多いので、料理の味に負けず、相性抜群といえるでしょう。また、寒冷な気候が影響しているのか、熱燗と相性のいい料理が多いです。旨味の詰まった鍋物と純米酒の熱燗を合わせると、もう最高です。

秋田のおいしい日本酒7選

いよいよここからはおすすめの日本酒と郷土料理の登場です。 秋田の日本酒はどれもおいしい名酒揃い。その中から、あえて選ぶとしたら…の5本です。 郷土料理とのペアリング例も併せてご紹介しますので、参考にどうぞ!

「飛良泉 マル飛77」×「いぶりがっこクリームチーズ」

飛良泉 マル飛77は、全体的に味わいは濃醇なうえ、甘味や旨味、酸味のバランスがいいです。フルーティーかつジューシーな酸味。後味はすっきりとしており、意外なほどに飲み飽きせず、ロックや炭酸で割っても味が崩れません。

今までの日本酒のイメージからはいい意味でかけ離れており、白ワインのような印象。冷蔵庫でよく冷やして、ワイングラスで楽しんでほしい一本です。

マル飛77に、いぶりがっこが持つ凝縮された旨味と塩味、クリームチーズのまろやかさを合わせるとまさに絶品。食前酒や食後酒として、お酒自体を味わってください。なお、いぶりがっこは細かく刻んで、クリームチーズに和えるようにして食べるのがおススメです。クラッカーを用意して、乗せて食べてもおいしいです。



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「山本 ピュアブラック」×「ツブ貝の刺身」

秋田の日本酒は甘めのものが多いなか、こちらのピュアブラックは辛口で切れ味鋭い一本。辛さの奥には、確かな米の旨味も感じさせます。スッキリとして非常に飲みやすく、飽きのこない味。リンゴやミントのような甘く、かつ爽やかな香り。オレンジのようなジューシーな酸味を感じます。

フレッシュかつ余韻のシャープさを生かして、ツブ貝の刺身のような、旨味の強い魚介料理と合わせると、お酒をより楽しめます。お酒が持つ米の旨味と、貝の濃厚な味わいが引き立て合います。なおかつ、口内に残る旨味を、持ち前の切れ味の鋭さですっきりと洗い流してくれます。

山本が造られる八峰町は海沿いの町であり、地場の魚と合うように設計されたように感じます。「地元の肴と地場の酒」。間違いのない組み合わせです。


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「刈穂 カワセミ」×「じゅんさいの酢の物」

刈穂 カワセミは、酒米に「秋田酒こまち」、酵母に「秋田流花酵母」を使用しています。

秋田県オリジナルの酒米「秋田酒こまち」で造られるお酒は、前述の通り、香り高く、旨さと軽快な後味を出しやすいという特徴があります。同じく秋田県独自の「AK-1(秋田流花酵母)」は、爽やかな軽快タイプのお酒に仕上がることが多いです。

カワセミラベルは、この酒米と酵母の特徴がよく出ており、華やかかつ優しい香味、辛口ですが辛すぎることはなく、しっかりした旨味を感じます。透明感のある爽やかな味わいで、スッキリとキレがあります。

カワセミの軽快さと爽やかさを活かすには、同系統のおつまみと合わせたいところ。秋田名物「じゅんさい」は水草の一種で、ぷるぷるしたゼリー質をまとっています。よく冷やしてポン酢と合わせると、非常にさっぱりと食べられます。その素直な味わいは、カワセミラベルの持つ良さを引き立て、そっと寄り添ってくれるような印象です。


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「出羽鶴 明日へ」×「岩ガキ」

出羽鶴 明日へは、SAKE COMPETITION 2019 スパークリング部門1位を獲得したお酒です。味わいは淡麗辛口で香り高く、ほどよいガス感。お米の旨味も感じられ、すいすい飲み進められる美酒です。

味わいや飲み口が軽いので、食中酒としても向いています。和食とも洋食とも合わせられるお酒です。

明日へは秋田県南部の名物「岩ガキ」と合わせてみてはいかがでしょうか。秋田県のカキは身が大きく、クリーミーなことで有名。カキの濃厚さを、明日へのほのかな甘味が優しく包み込みます。また、このお酒はドライなキレも併せ持つので、口内の旨味を綺麗に洗い流してくれる効果があります。

冷蔵庫でよく冷やして、シャンパングラスで飲むのがおススメ。非常に飲みやすい点、13度と低アルコールである点、炭酸により日本酒感が少ない点などから、日本酒初心者の方や、20~30代の若い方に向いています。


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「雪の茅舎 山廃純米」×「きりたんぽ鍋」

一般的に山廃仕込みのお酒は、味がしっかりしている骨太のものが多いですが、雪の茅舎のお酒は、山廃とは思えないほどキレイな味わいで、非常に飲みやすいです。山廃酒を飲んだことがない方にもおススメです。吟醸香に代表されるようなフルーティーな香りは控えめな吟醸酒。なめらかな口当たりで、米の甘味や旨味を感じます。ほんの少しの苦味があり、山廃らしい味わいも楽しめます。

味がしっかりしているので、きりたんぽ鍋のような旨味の強い料理に負けず、その濃厚な味を引き立てます。鳥肉の脂を、鍋の中に入っている「せり」のフレッシュさと苦味が口内をさっぱりとリセットしてくれ、いつまでも飲み続けられる絶品のおつまみとなっています。


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「新政 Lapis Lazuli(ラピス)」×「鹿角短角牛のローストビーフ」

日本酒は刺身や和食に合うというイメージを持つ方が多いと思いますが、お肉とも合います。

新政酒造は、伝統的な素材にこだわりつつ、モダンな酒造りを行うというコンセプトを持っています。同酒造の生酛由来のクリーミーな酸味としっかりした米の旨味は、お肉との相性が抜群です。

Lapis Lazuli(ラピス)は、爽やかな香り、甘味、酸味、旨味のバランスが絶妙。微発泡感があり、しっかりと濃縮された味わいが特徴。それとは対照的に、キレのよさも感じさせます。よく冷やして、ワイングラスで飲みたいお酒ですね。

鹿角短角牛は、秋田県北部の鹿角市の名産で、旨味の詰まった、噛み応えのある牛肉です。サーロインよりはヒレといった印象。お酒と合わせると、それぞれの旨味が見事に調和し、新政独特の酸味がアクセントを添えてくれます。短角牛は全国的に生産量が落ちていることもあって、なかなか入手しづらいお肉です。手に入ったら、ぜひ試してほしいペアリングです。

「ゆきの美人 純米大吟醸」×「海老のしょっつるアヒージョ」

ゆきの美人は、全般として香りが穏やかで、口あたりが柔らかく、すっとした切れ味があるお酒が多いです。

その中でも純米大吟醸は、ほどよい香りに蔵独特の爽やかな酸味、スッキリと綺麗な印象を持つ美酒です。料理にそっと寄り添う、飲み飽きのしない味わいですが、和食よりも海鮮系の洋食が合うと思います。

「しょっつる」とは魚醤の一種で、秋田県の県魚であるハタハタに塩を加え、熟成させて作った調味料のこと。しょっつるを海老のアヒージョに加えると、塩気と旨味に奥行きが生まれ、海老の旨味とも相まって、濃厚な味わいとなります。お酒と合わせると、旨味の詰まったアヒージョをさらに引き立て、濃くなりすぎる味わいを、酸味がきゅっと引き締めてくれます。お酒からほんのわずかに感じられる渋味と苦味が、しょっつるの特徴的な味わいと合っています。

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豊富なスパークリング日本酒・awa酒、厳選した地酒の日本酒オンラインショップ、吟天。
近年、女性人気も高まっている日本酒のご購入には吟天をご利用ください。
通販での販売に加え、日本酒ペアリング食事会(毎月第二火曜)を主催。
随時開催のフレンチ・イタリアンのペアリング会もございます。
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