クラフトサケ講座 後編 クラフトサケブリュワリー協会 この1本


クラフトサケ講座 後編 クラフトサケブリュワリー協会 この1本

更新日:2023/02/03


前回に引き続き、クラフトサケブリュワリー協会講座のお話をさせていただきます。


前編では「クラフトサケ」とは一体何なのかというお話を中心にさせていただきました。
後編では各ブリュワリーと、そこで造られる個性豊かなクラフトサケをご紹介していきたいと思います。

WAKAZE KURA GRAND PARIS(クラ・グラン・パリ)

ブリュワリー紹介

まずは「クラフトサケ」が出来るきっかけを生み出した元祖。株式会社WAKAZEのパリ醸造所「KURA GRAND PARIS」をご紹介します。


銘柄名であり会社名である「WAKAZE」は「和の風」という意味ともう一つ「若勢」という言葉に由来しています。若勢とは、東北地方で「若い蔵人」を指す言葉だそうです。
この名前には、もともと酒蔵として新規参入者であるというだけではなく、例え何年経験を重ねても、常に学び続け、実験を重ねる好奇心を忘れないことという想いがこもっているそうです。


そして、WAKAZE立ち上げから2年後となる2018年、「ボタニカルSAKE」というコンセプトで「FONIA」というお酒シリーズをリリースします。
「ボタニカルSAKE」はクラフトジンから発想を得たもので、果実やハーブなどの植物原料を米と一緒にもろみに入れた状態で発酵させることで、いままでにない香味表現をしようとするものでした。


これが今日の「クラフトサケ」につながる訳ですね。

パリへの挑戦

WAKAZEさんの挑戦と言えばやはり日本を飛び出してフランス パリでの醸造をはじめたことがとても大きいです。


醸造のための土地や建物を確保すること、原料となる米を確保すること、海外での醸造までのハードルは計り知れないものだったそうです。
米が確保出来ても、フランスの精米技術では食米とほぼ同程度の精米となり、また水も日本と違い非常にミネラルの多い硬水です。
つまりは、高度に精米した米を使用した「吟醸造り」や軟水により酵母の発酵を緩やかに行う「軟水醸造法」など、日本で主流となっている技術が通用しないということになります。


特にこのミネラルの課題解決の布石になっていたのが、「FONIA SALT」でした。仕込み水に沖縄海塩を溶かし込むことで、ミネラルが豊富な状態での醸造に挑戦したものです。
ミネラルの多い少ないは醸造に大きな影響を与える要素ですので、日本のミネラルが少ない軟水とフランスのミネラル豊富な硬水とのギャップを埋めるためにも、このFONIA SOLTの挑戦が大いに役立ったことだろうと思います。


こうした「硬水醸造法」とも呼べる技術があれば、フランスのみでなく他の硬水エリアの国でも美味しいSAKEが造れるというという証明にもなります。
WAKAZEさんが掲げる「日本酒を世界酒へ」という目標に対しても大きな前進となったと思います。

WAKAZE THE BOTANIC

今回の講義でご紹介するお酒はこちらです。


■ブリュワリー:KURA GRAND PARIS(クラ・グラン・パリ)
■所在地:フランス・パリ(フレンヌ市)
■原料米:フランスカマルグ産100%(飯米セレニオ)
■副原料:マントン産レモン(ラ・メゾン・デュ・シトロン)
     プロヴァンス産バーベナ
■精米歩合:90%
■酵母:ブルゴーニュ白ワイン用酵母(差し酛)
■アルコール度数:13%
■備考:白麹多め
■参考価格:2,970円/750ml


ポイントはフランスで造られているだけでなく、原料も全てフランス産であるということ、味わいも地元の方の好みを繰り返しヒアリングして創り上げているということかと思います。


レモングラスのようなハーバル&シトラスの香りに米から引き出した複雑な香りをまとい、口に含むとハッキリとした酸や幅のあるうま味や奥行き、深みを感じさせる味わいです。


酵母はブルゴーニュ白ワイン用の酵母とありますが、差し酛と呼ばれる、発酵中の酵母を次のタンクに継ぎ足して使用する手法で扱われています。
SAKEの発酵環境で繰り返し培養され、飼い慣らされていますので、元はワイン用でもまた違った性質を獲得しSAKEに最適化されていることと思います。

LIBROM

ブリュワリー紹介

続いては福岡県福岡市の株式会社LIBROMさんです。
福岡の街中に醸造所&SAKE Pubを開業しています。


LIBROMという名前はイタリア語の「LIBERTA(自由)」と「ROMANZO(ロマン)」を組み合わせて生まれました。


前回にもご紹介した通り、中学校の同級生である柳生さんと穴見さんの二人で建てたブリュワリーです。柳生さんが酒造りへの想いを語ったときに、感化された穴見さんが一緒にやりたいと志願したとのこと。そのとき柳生さんはその申し出を断ったそうです。


それでも一緒にやりたいと酒造りの修業をする穴見さんの情熱を見て、一緒に開業することを決意したとか(岡住さん談)


LIBROMさんの拘りは全ての副原料について、必ず生産者を直接尋ねて話をきき、納得した上で仕入れること。
原料を旬の摘み立て状態で使用するために、原材料の収穫タイミングに合わせて醸造計画を調整するそうです。
副原料の原料処理工程を全て手作業で行うため、丸一日果実の皮を剥いたりミキサーにかけるなどの原料処理をしている日もあるなど、かなりの労力が掛かっているとのことです。

Verbena(おりがらみ)

今回の講義でご紹介するお酒はこちらです。


■ブリュワリー:株式会社LIBROM
■所在地:福岡県福岡市
■原料米:福岡県産ヒノヒカリ
■副原料:レモンバーベナ(福岡県ガーデンアルテ)
■精米歩合:92%(掛け米)、68%(麹米)
■酵母:非公開
■アルコール度数:9%
■備考:
■参考価格:2,600円/500ml


こちらがLIBROMさんの中でも主力となる代表銘柄です。
Verbenaはベルべーヌと読んでもバーベナと読んでもどちらでも良いとの事です。
バーベナは収穫時期も長く、保存性も良いという理由もありますが、なんといってもSAKEの香りとのバランスがとても良いそうです。


吟醸酒の様にワイングラスで楽しんでいただくSAKE、アルコールに弱い方でも飲みやすい低アルコールのSAKEを目指していますので、発酵は低温で行い、日数を短く抑えています。
そうすると糖がやや多く残る傾向があるため、酸を多く出す事でバランスを取る設計をしているとのことです。


LIBROMさんのクラフトサケはどれも原料の風味をとても大事にしているのが伝わってきます。

副原料のハーブの香りがシンプルかつ繊細に感じられます。 口に含んだときに感じられる米の風味も絶妙なバランスです。

haccoba

ブリュワリー紹介

画像左から立川哲之さん、佐藤太亮さん、佐藤みずきさん


3つめのクラフトサケブリュワリーは福島県のhaccoba.incさんです。
代表の佐藤太亮さんはIT業界から転身し、新潟の阿部酒造さんでの修業を経て昨年2021年に酒蔵を建てました。


創業時にはクラフトビールにも明るい立川哲之さんが参画していたこともあり、ホップを使用したクラフトサケが得意です。
(立川さんは現在醸造所を持たない「ファントムブリュワリー」という形式で「ぷくぷく醸造」を立ち上げ独立)


ホップを使用したクラフトサケは他のブリュワリーでもよく造られていて、一つのジャンルになりつつあると思います。


これは単にビールとのコラボレーションという意味合いだけでなく、実は一部の地域では「花酛」と呼ばれ、古くからどぶろく醸造法の一つとして存在していたということが分かっています。
(もちろん当時は西洋のホップを輸入した訳ではなく、東洋のホップと呼ばれる「唐花草」を使用していたとのこと)
新しく見えて実は伝統を継承したものだったのですね。

僕たちの酒

今回の講義でご紹介するお酒はこちらです。


■ブリュワリー:haccoba,inc
■所在地:福島県南相馬市
■原料米:新潟県産米(矢島衛さん)
■副原料:ベルガモット(山田オリーブ園),
     ホップ(ゴロクヤ市場)
■精米歩合:93%
■酵母:非公開
■アルコール度数:12.5%
■備考:阿部酒造卒業生のコラボ商品
■参考価格:2,750円/500ml


Haccobaさんはこの講座に是非「僕たちの酒」を使ってほしいとのご希望でした。
この「僕たちの酒」というのは、haccobaの佐藤さんが修業した阿部酒造さんが毎年出すお酒で、その年の集大成として蔵人たちが自分たちの造りたいお酒を自由に造るというものです。
その「僕たちの酒」の今回の企画は阿部酒造さんで修業した卒業生たちがコラボレーションするという形になりました。


師匠である阿部酒造さんと同じ新潟県産米を使用し、haccobaさん独自の表現をしています。
クラフトサケでは、地元のお米を使用することが多いかと思いますが、福島のブリュワリーでありながら新潟県産を使用している理由はここにあったのですね。

液体の色もほんのりピンク。これは麹の成分とホップが反応したときの色合いとのことです。 精米93%でありながらベルガモットとホップの清涼感があり、フルーティな印象です。 ラストを引き締める苦味も軽快で非常によいバランスです。

木花之醸造所

ブリュワリー紹介

続いては東京浅草にある木花之醸造所さんです。
こちらはコンセプトが珍しく、1-2年ほどで醸造長が交代するのです。この仕組みの発案者は今回の講座の特別講師をしてくださった岡住さん。 なんと木花之醸造所の初代醸造長でもあるのです。
初代醸造長に就任する際、すでに自分のブリュワリーである「稲とアガベ」を開業することが決まっていたため、すぐに醸造長から外れることが決定していたのです。


そうであれば、それをコンセプトにしてしまい、クラフトサケブリュワリーを立ち上げたい醸造家の修業の場にしてはどうかということになりました。
二代目醸造長にも初代醸造長のレシピは引き継がれますが、それを自分流に改良することも許されています。


すでに二代目醸造長も独立間近、三代目醸造長が後に控えています。 醸造長の交代で全く新しく生まれ変わるクラフトサケブリュワリー、面白いですね。

ハナグモリ THE 酸

今回の講義でご紹介するお酒はこちらです。


■ブリュワリー:木花之醸造所
■所在地:東京都台東区駒形
■原料米:国産米
■副原料:なし
■精米歩合:非公開
■酵母:非公開
■アルコール度数:12%
■備考:白麹
■参考価格:2,178円/500ml


ハナグモリは、酒造りの神様でもある木花之開耶姫(コノハナノサクヤビメ)が咲かせた桜の中をくぐるかのような幸福感を味わって欲しいと考え名付けたとのことです。


初代醸造長の岡住さんがバランスタイプの酒造りが得意とすると、二代目醸造長の日向さんが得意とするのは酸をしっかりと効かせたシャープなタイプで、まさにこのTHE酸がそのタイプです。


また、岡住さんが副原料や変化球の製法を積極的に取り入れるのに対し、日向さんはとことん一つの「どぶろく」という製法を突き詰めるタイプとのことです。


日向さんが突き詰めた「どぶろく」の魅力を、三代目醸造長がどのように活かしていくのか、今から楽しみです。

ハッピー太郎醸造所

ブリュワリー紹介

滋賀県のハッピー太郎醸造所さんは、クラフトサケブリュワリー協会の中でも幅広く発酵を扱っているブリュワリーです。
クラフトサケのみならず、糀そのものの販売、味噌や鮒寿司まで手がけています。


原料の米も顔が見える自然農法の米を使用し、その特徴まで把握して造られています。
今回のSAKEにも使われている池内農園さんのお米が麹にすると中から膨らむゴムまりのような感触になるのだとか。
クラフトサケはもちろん、鮒寿司の香りも米が違うと変わってくるのだそうです。
鮒寿司の鮒にこだわる人はいても、米にここまでこだわる人はそう多くはないとおっしゃっていました。

something happy ハーブティー

今回の講義でご紹介するお酒はこちらです。


■ブリュワリー:ハッピー太郎醸造所
■所在地:滋賀県長浜市
■原料米:滋賀旭(池内農園)
■副原料:ハーブティー(梶谷農園)
■精米歩合:非公開
■酵母:非公開
■アルコール度数:6%
■備考:菱六もやし1号菌(味噌用)、
    白麹での高温糖化
■参考価格:1,870円/480ml


ミシュラン店にも卸す有名ハーブ園「梶谷農園」さんのハーブティーを仕込み水に使用したどぶろくです。
管理された農園のハーブとはいえ、生のハーブをそのまま使用するのは怖いとのことで、ハーブティーとして煮出すことで加熱殺菌も兼ねることができ、そのまま高温糖化という高温での仕込みに使用するので、非常に合理的です。


また、味噌用の麹を使用しているのも特徴的です。
自然農法で造られた美味しいお米だからこそ、しっかりと溶かしきりたいという気持ちから、タンパク質も含めて良く溶かす味噌用の麹菌を使い、しっかりと「完熟」に作り込んだ麹で仕込みます。


ハッピー太郎さん曰く、酒蔵はデザインして溶かす。米のどこを溶かし、どこを酒粕として残すか。ところが、どぶろくは漉さないので全て飲まれる。全て美味しくするために「完熟」の麹を造る。
あくまで「麹屋」として、その仕事は米を溶かすこと。しっかりと溶かして栄養にしたい。


そのため、ハッピー太郎さんのどぶろくは非常に味わいが濃厚で、薄めて飲む事を推奨しているほどです。


今回のハーブティーどぶろくは、どぶろくとしての濃厚さもありながら、梶谷農園さんのハーブティーからの香味がビビッドに活かされていて、清涼感のある味わいに仕上がっています。

LAGOON BREWERY

ブリュワリー紹介

新潟県のLAGOON BREWERYさんを立ち上げた田中洋介さんは、海外でのキャリアを重ねた後に「今代司酒造」に入社し、代表取締役社長に就任。そこから退社をしてブリュワリーを立ち上げという経歴です。
前回記事のように、日本酒蔵の社長からクラフトサケ立ち上げというのはかなり珍しいパターンかと思います。


ちょうど「輸出限定清酒免許」の制度が始まったこともきっかけのひとつだったようです。
前編記事でお伝えしたように、清酒の国内需要が落ちていることを理由に、新規参入による需要の奪い合いを防ぐため、清酒の免許は新規に降ろさないというのが現状です。
それが理由であれば、輸出限定であれば国内企業と競合しないので良いのではないかという考えから生まれた規制緩和策なのですが、これを利用する者が少なければせっかくの規制緩和が台無しになってしまうという危惧もあったそうです。

翔空 SAKEマルゲリータ

今回の講義でご紹介するお酒はこちらです。


■ブリュワリー:LAGOON BREWERY Inc.
■所在地:新潟県北区
■原料米:新潟県産米
■副原料:新潟県北区産トマト
     新潟県北区産バジル
■精米歩合:65%
■酵母:非公開
■アルコール度数:12.9%
■備考:どぶろくベース 燗酒にも
■参考価格:2,860円/720ml


地元特産のトマトを活かそうという発想で、最初はトマトのみで試験醸造をおこなったそうです。
100名程の試飲を行い、良好な評価をもらえていたものの、もう少し何かを加える事で改良されるのではという感触があったそうです。
そこでバジルを加えることで気になっていたグリーンの香りがポジティブになり、ネーミングもトマトとバジルを使用した「マルゲリータ」としたそうです。


これは非常に革命的な味わいに仕上がっていると思います。
マルゲリータの名前の通り、パルメザンチーズをかけて飲みたくなるような味わいです。
クラフトサケは果実のフルーティさやハーブやホップの清涼感を強調したスタイルのものが多い印象ですが、また違ったうま味をもったスープのような感覚のスタイルです。
もちろん、燗にしてみてもそうしたスタイルが引き出されると思います。

稲とアガベ醸造所

ブリュワリー紹介

最後は今回の講座の特別講師をして頂いた岡住修兵さんが立ち上げた秋田県男鹿市の「稲とアガベ醸造所」さんです。
醸造所の地元男鹿を盛り上げるべくクラフトサケのみならず、食品加工やラーメンや…とにかく様々な事業を次から次へと手がけているのですが、今回はクラフトサケのお話に絞りたいと思います。


この「稲とアガベ」という名前は、当初岡住さんが奥さんと結婚したときの「家紋」として考案されたものとのことです。
「稲」は米作りから酒造りまで手がける岡住さんの象徴、そして「アガベ」はテキーラの原料。テキーラマエストロの資格を持ち、テキーラ姉さんと呼ばれる奥様の象徴とのなのだそうです。


『よく「アガペ=愛」と間違われますが、正しくは「アガベ」です。まあ愛というのもあながち間違いではないんですけどね!』(岡住さん談)

稲とアガベ

今回の講義でご紹介するお酒はこちらです。


■ブリュワリー:稲とアガベ醸造所
■所在地:秋田県男鹿市
■原料米:秋田県産完全無農薬ササニシキ
■副原料:アガベシロップ
■精米歩合:92%
■酵母:非公開
■アルコール度数:14%
■備考:
■参考価格:3,300円/720ml


本当は講義ではもう一本未発売の特別なお酒をテイスティングしたのですが、そちらは内緒のお酒ということで、割愛させていただきます。
稲とアガベ醸造所の看板商品「稲とアガベ」です。
米・米こうじにテキーラの原料であるブルーアガベのシロップを使用することで、清酒の定義から外しています。
ただ、入れているのもほんの少量ですので、味わいのスタイルはほぼ清酒の技術で造られています。


※さすがに細かすぎる裏話ですので、ここは読み飛ばして頂いてかまいませんが、このコンセプトで発売する際、これは本当に清酒の定義に当てはまらないのか、国税庁はかなり慎重だったそうです。
というのも、実は清酒の原料として「糖類」というのが認められています。
「シロップ」は糖類ではないのか?という疑問があるのです。


この点、「糖類」はさらに細かく規定があり、「ブドウ糖その他財務省令で定める糖類」とあり、財務省令を見てみると「でん粉質物を分解したもの」とあります。
最終的にはシロップにミネラルを含むため、清酒の定義外であるという決着になったそうですが、私個人的にはアガベシロップはでん粉ではなく「イヌリン」の分解による糖なので、ミネラル以前にここには当てはまらないのではという気がしています。


稲とアガベで使用する米は完全無農薬栽培で、精米をほとんどしない(高精米歩合)でも酒にしたときに綺麗な味わいになりやすいという特徴があるそうです。
 この素晴らしい米を出来るだけ精米せず、そのまま使いたい。
 しかしながら、高精米歩合ではどうしても米の外側の脂質が多く残り、これが糠臭に繋がる欠点がありました。


これを防ぐ方法として、リパーゼという酵素剤を使用して脂質を溶かしだしてしまうという技術も開発されていますが、岡住さんは酵素剤などの力を借りずに酒造りをしたいという想いがあります。


そこで岡住さんが辿り着いたのが米をお湯で洗う手法です。米は冷水で洗うのが酒造業界の常識ではありますが、これによって米の脂質を洗い流し、格段に綺麗な味わいになったといいます。


また、あまり磨かない高精米歩合のお米は溶けにくいという課題もあります。
そのため、溶かす力の強い「焼酎用黄麹」という、通常用いられることのない古い麹菌を使用し、それでいて重い味わいにしないために製麹時間(麹を造る時間)を短く抑えます。


精米歩合92%、焼酎用黄麹を使用した酒と聞けば、重くどっしりとした味わいを想像するのが通常かもしれませんが、岡住さんの造る「稲とアガベ」はあくまでバランスが良く、軽快さを持ち合せています。


「米を磨かず技術を磨く」という言葉を抱え、通常の蔵が米を精米することで解決する課題を、様々な革新的方法で解決し、ぐんぐんそのクオリティを高めています。


「年を重ねる毎に」どころか「ロットを重ねる毎に」大きく成長する今注目のブリュワリーです。
是非味わってみて頂きたいと思います。

ライター紹介

並里 直哉

日本酒講師・清酒専門評価者
6年間酒類総合卸会社に勤務したのち独立し、ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」での日本酒講座、酒販店や飲食店の社員研修、テレビやラジオ、雑誌等のメディア出演などを通じて日本酒の魅力を伝えている。

スパークリング日本酒・awa酒、厳選地酒の通販は吟天へ

豊富なスパークリング日本酒・awa酒、厳選した地酒の日本酒オンラインショップ、吟天。
近年、女性人気も高まっている日本酒のご購入には吟天をご利用ください。
通販での販売に加え、日本酒ペアリング食事会(毎月第二火曜)を主催。
随時開催のフレンチ・イタリアンのペアリング会もございます。
吟天シェフ酒サイトでは、日本酒とさまざまなお料理とのペアリングをご紹介し、
さらに美味しく、楽しい日本酒の世界へご案内いたします。

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