クラフトサケの祭典「猩猩宴 in 東京」


クラフトサケの祭典「猩猩宴 in 東京」

更新日:2023/07/25


2022年10月2日(日)に下北沢ボーナストラックで開催された、クラフトサケの祭典「猩猩宴in東京」の当日の様子をお届けします。


「猩猩宴in東京」では、日本全国のクラフトサケ醸造所7社と秋田県をはじめとする全国各地の飲食店が出店し、各醸造所の個性あふれるクラフトサケを飲むことができるほか、全国各地の飲食屋台の味も楽しめるイベントです。

猩猩宴 in 東京

開催の背景

お米を原料としながら日本酒のルールに縛られない、各醸造所の個性豊かな「クラフトサケ」をより多くの人に知ってもらい、これから生まれる醸造所を支えることを目的として企画されました。

クラフトサケとは

↑ 猩猩宴参加蔵・木花之醸造所のクラフトサケ


クラフトサケ」は、日本酒の製造技術をベースとしたお酒、または、そこに副原料を入れることで新しい味わいを目指した新ジャンルのお酒です。
酒税法上では「清酒」ではなく、「その他の醸造酒」や「雑酒」などに区分されます。


クラフトサケブリュワリー協会は「クラフトサケ」について以下のように定義しています。
日本酒の製造技術をベースとして、お米を原料としながら従来の「日本酒」では法的に採用できないプロセスを取り入れた、新しいジャンルのお酒。


例えば、「どぶろく」もクラフトサケのひとつ。
日本酒には、「搾る(お酒と酒粕を分ける)」工程がありますが、搾らずにそのまま飲むのがどぶろくです。


そのほか、フルーツやハーブなどの副原料を入れることで、新しい味わいを実現したお酒もたくさん誕生しています。
お米を原料としながら、日本酒のルールに縛られない、自由で多様なお酒です。


参照:クラフトサケブリュワリー協会 

清酒と日本酒の違い

「清酒」とは、海外産も含め、米、米こうじ及び水を主な原料として発酵させてこしたものを広く指す言葉です。
「日本酒」は、清酒の中でも原料である米、米こうじに日本国内産米のみを使用し、日本国内で醸造したもののみを指します。

イベントの様子

↑ 猩猩宴参加蔵・稲とアガペのクラフトサケ


10月は秋の気配が感じられる季節ですが、イベント当日は真夏のような暑さで汗ばむほどの陽気。その陽気に誘われるように開宴前にはスタートを待ちわびるお客さんの列ができており、このイベントの注目度の高さが伺えました。


チケットは主催者である稲とアガベのオンランショップで電子チケットを事前購入。好きなお酒が飲めるドリンクチケット×5枚と、限定のクラフトサケグラスが付いて3,000円とお得です。
チケットは当日も購入可能。


入口で電子チケットを提示して、ドリンクチケット×5枚とクラフトサケグラスを受取り入場します。
(お酒は写真のグラスに入れてもらいます)

種類豊富なクラフトサケ

↑ 猩猩宴参加蔵・ぷくぷく醸造のクラフトサケ


各蔵のブースには沢山の種類のクラフトサケがあり、チケット5枚では足りず追加購入しました。スタートしてしばらくは、各ブースをゆっくり回りながら蔵元とも話す余裕がありましたが、11時を過ぎる頃には、会場はクラフトサケを楽しむ若い人でいっぱいに。


これまで日本酒に馴染みがなかったり、興味がなかった若い人達がクラフトサケに興味を持ち、飲んでみることで日本酒にも興味をもってもらえる。クラフトサケが日本酒の入口となる。そう思えるイベントであり、クラフトサケに新しい可能性を感じました。
まさに、クラフトサケブリュワリー協会が目指す「日本酒とクラフトサケが共存できる未来をつくる」を具現化したイベントだと思いました。
これまでなんとなく日本酒を避けていたという人は、一度、クラフトサケを試してみてはいかがでしょうか。

Craft Sake Breweryの紹介

ぷくぷく醸造 代表の立川哲之(たちかわ てつゆき)さん (写真右)

南相馬市の醸造所「haccoba -Craft Sake Brewery-」の醸造責任者を務めた後、独立して立ち上げたのがぷくぷく醸造です。
原発事故で激減した、田畑を取り戻すために、原料米に福島県の沿岸・浜通り産のものを使用。お酒を通して、福島の沿岸に田畑を増やすことを目指としています。
ぷくぷく醸造は、醸造所を持たず、各地の酒蔵の設備を借りて酒造りを行うファントムブリュワリーです。
クラフトビールの文化と技術を掛け合わせた日本酒をつくることをコンセプトとしています。

LIBROM代表の柳生光人(やぎゅう みつと)さん (写真左)

柳生さんは「酒造りの神様」と称される農口尚彦杜氏の下で3年間修業し、3年目には麹造りの主任を務めた経験の持ち主。
LIBROMが掲げるテーマは「日本酒文化をもっと身近に」。そして近い将来、イタリアにSAKE醸造所をつくり、日本の文化を発信する存在になることを目指しています。
LIBROMという社名は、醸造責任者の穴見さんが好きな「自由(Liberta)」と、代表の柳生さんが好きな「ロマン(Romanzo)」というふたつのイタリア語を組み合わせた造語です。

ハッピー太郎醸造所 オーナー醸造家の池島幸太郎(いけしま こうたろう)さん

「ハッピー太郎」こと池島幸太郎さんは大学卒後、農業と3つの酒蔵で12年間修行を行った経験の持ち主。
醸造所のコンセプトは「醗酵でつなぐ、しあわせ」。生産者から加工業者、消費者までを豊かに繋ぐことを目指しています。
池島さんのつくる麹は完熟麹で一般的な日本酒の麹とはつくり方が違います。乾燥気味に締まった日本酒用の麹とは違い、池島さんのつくる麹は、味噌麹と同じ高温多湿の環境で麹菌を成長させ、伸び伸びと元気に育った農産物のような麹です。

新規参入が難しい日本酒業界

世界では日本酒が注目され輸出量は増えていますが、国内の消費量は減少傾向にあります。
このため需給調整を目的として、日本酒の製造免許は現在、輸出向けの一部を除き新規で原則発行されておらず、新規参入は事業承継やM&A、海外での製造により行われているという現状があります。


クラフトサケは副原料を入れて発酵させることで、法律上は「日本酒」ではなく「その他の醸造酒」として扱われるため、日本酒の製造免許がなくても造ることが可能です。

クラフトサケブリュワリー協会

2022年6月27日、岡住修兵氏(稲とアガベ株式会社 代表取締役・上記写真)を発起人として、クラフトサケ醸造所を運営する 6社で設立。
クラフトサケを広め、その社会的な地位を確立しながらこれから生まれる醸造所を支えることで、消費が低迷する日本酒市場を変革し、日本により豊かなサケ文化を築くことを目指しています。


主な目的は以下の3つ
・クラフトサケの醸造所を増やす
・クラフトサケの知名度を高める
・日本酒とクラフトサケが共存できる未来をつくる

猩猩(しょうじょう)とは

猩猩は、海に住む酒好きの妖精で、赤い体毛に覆われた人語を操る猿のような見た目の生き物です。
酒を振る舞うと、陽気に踊り出し、共に酌み交わした人に、幸運や富をもたらすめでたい存在として知られています。
大酒家の隠語としても使われるほど、飲酒と関わりが深い生き物です。


その名を冠した猩猩宴は、各地の個性あふれるクラフトサケ醸造所が集結し、作り手も飲み手も一緒に陽気にクラフトサケを酌み交わし、語り合える祝宴です。


《クラフトサケ出店者》
#稲とアガベ
#WAKAZE
#木花之醸造所
#LIBROM
#haccoba
#LAGOON BREWERY
#ハッピー太郎醸造所


《ブース出店者》
#ぷくぷく醸造
#TETOTETO
#熱燗DJつけたろう
#土田酒造


主催:稲とアガベ株式会社

ライター紹介

土橋忠明(どばし ただあき)
サケノアルケミスト


長崎県南島原市出身。
J.S.A. Sake Diploma
日本酒の普及のために、日本酒の魅力をInstagramで発信している。
Instagram: @Japanese.sake.love
Instagramでの発信においては、日本酒の紹介だけではなく、造り手の想いや蔵のヒストリーにスポットを当て発信している。
また、日本酒が飲めるオススメのお店も紹介している日本酒のトップインスタグラマーのひとり。

スパークリング日本酒・awa酒、厳選地酒の通販は吟天へ

豊富なスパークリング日本酒・awa酒、厳選した地酒の日本酒オンラインショップ、吟天。
近年、女性人気も高まっている日本酒のご購入には吟天をご利用ください。
通販での販売に加え、日本酒ペアリング食事会(毎月第二火曜)を主催。
随時開催のフレンチ・イタリアンのペアリング会もございます。
吟天シェフ酒サイトでは、日本酒とさまざまなお料理とのペアリングをご紹介し、
さらに美味しく、楽しい日本酒の世界へご案内いたします。

ページトップへ