群馬県・大利根酒造訪問~東京から1時間半の水の聖地へ~


群馬県・大利根酒造訪問~東京から1時間半の水の聖地へ~

こんにちは、サケノアルケミストの宮内です!
今はもう秋の風が吹き始め、夏の終わりを感じさせる季節になりつつありますが、去るゴールデンウィークに、黄緑の筆でたたいたようなもこもこの新緑を眺めながら、4代目蔵元・阿部社長のご案内のもと、大利根酒造を訪問してきました!

群馬県上毛高原駅の大天狗面

▲上毛高原駅の大天狗で、身長比べ。いい勝負!(ふたりとも180cm付近の争い)


歴史ある「大利根酒造」

▲阿部社長と記念写真。真ん中が阿部社長です。ロゴ入りパーカーがかわいい!



東京駅から上越新幹線ときで1時間、上毛高原駅をおりて車で30分。
映画1本分ほどの時間でたどり着ける水の聖地が、そこにありました。まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような店構え。ふさふさの杉玉がお出迎えです。
代表銘柄は「左大臣」。元文四年(1739年)にはすでにこの地で酒造りを始めていたとのこと。
人の手の上をお米が通らないとおいしいお酒はできないというこだわりのもと、今でも蔵人2人区体制の手仕込みを貫いています。

いざ、蔵の中へ

▲販売所のすぐ隣には、昔懐かしい囲炉裏や客間が。



のれんには、豪快に水しぶきをあげる川が描かれています。
この地は水に恵まれており、大利根酒造の隣には、利根川支流の白沢川が流れています。
「君の家の方は、山に行って竹づつを突き刺せば水が出てくるんだろう」と、学生時代に友人にからかわれたことがあると阿部社長はおっしゃっていましたが、「その通りなんだよ」とのこと。実は、仕込み水は地下12mという浅さから汲み上げている井戸水。店前にも汲み上げられていたので、飲ませていただいたのですが、ほのかに甘くおいしい。
このやさしさからは想像しづらいですが、坂東太郎とも称された利根川の、しかも上流ともなれば、治水の行き届いていない時代には激しい水しぶきをあげて流れる白沢川が見られたのでしょう。

高い天井と槽

▲蔵内部は広々とした空間。天井には、今は使用していない槽(ふね)の木枠が収納されていました。



蔵内に足を踏み入れると、やはりひんやりとした空気に包まれました。
蔵は昭和の時代に火災で一部燃えてしまったようで、使える材を回収しつつ建て直されたとのこと。
冷房も一般的でなかった時代、自然に温度を低く保てるよう、天井は高く設計されています。実は、富岡製糸場と同じ天井の組み方で、また柱も無いため広々とした空間となっていました。

年代物の銅和釜

▲鋼の釜。全員で五右衛門風呂を楽しめそうな大きさに圧倒されました。



最も印象的だったのは、今でも蒸米用の鋳物の和釜が現役だったこと!不必要な水分を落とした乾燥蒸気で過度にべたつかせることなく米を蒸し上げることができるのだとか。
ほかにも、お酒の品質へのこだわりを実現するために、あえて旧式の放冷機やヤブタを使用したりしています。
阿部社長曰く、「昔の機械は、ほどほどの塩梅がわかっていて、よくできているよね。放冷機は蒸米を乾燥させすぎないし、ヤブタは絞りすぎない。その代わり、故障しても代わりの部品がなかったりするから、電機工事も機械修理も自分たちできるようにならないといけないんだけれどね!」

お酒の味わいは

▲手前の2本が、熟成期間の異なる季節商品の「つ」。



実際にお酒を飲ませていただいたところ、軽やな口当たりでありながらあたたかみのある印象が大きく、ぜひあたためてみたいと強く感じました。
阿部社長ご自身も、ぬる燗にしてもおいしいお酒を志しているとのこと。大利根酒造さまのお酒で、日本酒観が変わる人も多いのではないでしょうか。
季節商品の「左大臣・純米吟醸生原酒・おりがらみ・つ」は、「花一匁」と同じ醪タンクからしぼったおりがらみですが、四季に一度、熟成期間違いが発売されるので、飲み比べも楽しいですね!
筆者の宮内は、この「つ」の爽やかさとふくよかさのバランス、冷やでもぬる燗でもおいしいオールマイティさの虜になってしまいました。


夜は老神温泉に宿泊したのですが、なぜか燗付け器を持参したメンバーがいたので、復習がてらお燗をつけたのは言うまでもありません。(車移動を選択して、本当に良かった。)美酒に酔った結果、お見せできる写真が残っていないのがとても残念です。

蔵見学

▲帰りの新幹線の、黙食・黙飲のおとも。



大利根酒造さまの見学は、3日前までの予約で受け付けていただけます。
江戸の息吹を感じたい方、群馬のしずくを味わいたい方、ぜひぜひ足を運んでみてください!

ライター紹介

宮内菜奈子

千葉県旭市出身。
J.S.A. Sake Diploma、WSET SAKE Level3、SSI国際日本酒講師。
東京大学・東京大学大学院では、イネの環境耐性機構について研究。大学時代に日本酒にハマり、2018年にミス日本酒茨城代表を務める。外資系金融機関を経て、地方ツアーを通して日本産酒類消費増に貢献すべく、2022年7月に株式会社イリスを設立。

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